冷たい熱に甘くとろけて。
「…で」
勢いのままにスーパーに駆け込んだけど、何を作ろう。
チョコは嫌いじゃないって言ってたから作ってもいい。
けど、ひとくちでチョコと言っても色々あるよね。固めただけのチョコ、生チョコ、チョコケーキ、…うーん、迷う。
「何かお困りですか?」
「へ?ってなんだ、紗和か」
紗和は私の幼馴染。私のことなら大体なんでも知ってて、私のらんくんへの気持ちが発覚したのはこの子のおかげだった気がする。
「蘭にチョコでもあげるの?」
紗和はにやにやしながら私の手元を見た。紗和が『蘭』と呼ぶのは、彼女がらんくんの幼なじみだから。
「い、いやっ?べ、別に?」
私は慌てて薄笑いを浮かべた。
「ふーん?」
彼女は悪魔のような笑みを浮かべる。どうやらバレバレだったらしい。
「てか、何作るの?」
「えーっと…」
「え、何決めてないのに来たの?バカだね」
「バカじゃない!」
「蘭に聞いてみたら?教えてくれるかもよ」
「…」
私は黙り込んでしまった。あの雰囲気じゃ絶対に教えてくれないと思う。
そんな私の考えていたことなのか、紗和は口を開く。
「じゃ、仕方ないか。教えてあげる」
彼女の口が、私の耳元にそっと寄る。そして小声でこう言われた。