冷たい熱に甘くとろけて。
「蘭は、カップケーキが大好きなの」
私は呆気にとられて紗和を見つめる。
あんなにむっつりしてるのに、カップケーキが好きなの…?
紗和は親指を立ててニカッと笑う。
「余ったらちゃんと私にも頂戴ね」
「もちろん!紗和だって私の大切な友達だもん!」
「美菜子…!」
紗和がうるうると瞳を潤ませる。
「嬉しい、頑張ってね楽しみにしてるから!ばいばい!」
紗和と別れて早足で家に帰ると、私は急いで支度をした。
買ってきた材料を並べて、エプロンをして、準備完了!
今回は生チョコカップケーキを作ることにした。
らんくんが好きなカップケーキと、私の好きな生チョコを融合させた絶対美味しいスイーツ。
レシピを慎重に見ながら混ぜていって、できたら型に移してオーブンに入れる。
オーブンの前に立ってゆっくり膨らんでいくカップケーキを見ていると、ぐうとお腹が鳴ってしまった。
…だって、チョコの甘い香りがしてくるんだもん…!
恥ずかしくて顔を赤くはしたけど、それよりもドキドキする気持ちが勝ってしまった。
「らんくん…」
どんな表情、するかな。
翌日。
珍しく早く起きた私は、らんくんの教室に行くことにした。
らんくんは教室に来るのが早い。だから登校時間は一緒にならないんだけど、でも遅いより全然嬉しい。
「らんくん、おはよう!あのね、これ…」
私はラッピングしたカップケーキを取り出そうとする。
「待て」
「…?」