冷たい熱に甘くとろけて。
「外行こ」
私は辺りを見回してぎょっとする。そっか忘れてた。ここ、教室だったんだ!
「蘭やるじゃん〜」
隣の席にいるチャラそうな男生徒が冷やかしてくる。私の顔の温度が急激に上昇するのが分かった。
「うるせえ」
そう吐き捨てると、らんくんは私の手を強く引っ張った。
「へ…?」
「行くぞ」
連れて来られたのは、教室の端にあるスロープ。
ここは滅多に人が通らないから絶好の告白ポイントで、毎年ここで告白の現場を見れたりするらしい。流石に見るのは良くないけど、気になるものは気になる。
…って、そうじゃなくて!
私は大柄な彼を見上げる。180センチ以上ある彼とは30センチくらい差があるから、どうしても上目遣いになってしまう。
「らんくん…いつもこんな私と付き合ってくれてありがとう。これ好きかなって、作ってみたんだけど…もらってくれる?」
「…」
「らんくん?」
「…」
「…そっか」
私は目を伏せた。らんくんに聞いた方が良かったのかな。紗和から教えてもらうのってダメだったのかな…。
昨日はしゃいで作ってた自分がバカみたいだ。
視界が揺れたと思うと、ぼろぼろと涙が出てきた。
「なんで泣いて…?」
らんくんが慌てたような表情をする。
「だって…らんくんが、受け取ってくれないから…」
私がそう言うと、らんくんははっと気づいたような表情をした。
「…ごめん。びっくりして、何も言えなくて」
え?私は拍子抜けする。
まさか昨日の話覚えてないとか?昨日あげる宣言をしたようなものなのに?
「勘違いさせてごめん。受け取っても、いいか…?」
心配げに顔を覗かせてくるらんくん。
あ、耳真っ赤になってる…かわいい。