冷たい熱に甘くとろけて。





「やだ!」

私はカップケーキが入った袋をぎゅっと抱きしめる。

「私だって食べてないんだから!らんくん要らないんでしょ?」

がさっと袋に手を入れ、カップケーキにかぶりつく。しまった、こんなことしたららんくん絶対怒る。『てめえが勝手に食ってろ』とか言われそう…。

すると途端に視界が暗くなった。

「ごめん…ほんと悪かったから」

え、待ってらんくんに抱きしめられてる…?なんかいい匂いするし、あったかいし…何より心臓がどくどくと鳴ってるのがわかる。

「美菜子。食べさせて」

普段しないくせに、名前呼びはずるい。私はその表情に、どうしても勝てない。

「…わかったよ」

新たなカップケーキを取り出そうとした私の手をやんわり避けて、彼は私に口元を近づける。程なくして熱っぽい唇が私に触れる。

最初から舌を入れてくるわけじゃなくて、少しずつ優しくしてくれて、そして今までの冷たい態度が全部許せちゃうくらいの甘美なキスだった。

「ぁ…ん」

喘ぎ声が出ちゃうくらい、らんくんはキスが上手い。だから私はいつもどろどろに溶かされてしまう。今日もそうなったらしい。

「らんく…っっ」

私がへたっているのにようやく気づいたらんくんは、やっと私から唇を離してくれた。

ふーふーと息をする私とは違って、らんくんは余裕たっぷりだった。

「…甘かった」

と親指で唇をぬぐい、それをぺろっと舐める。それだけでも色っぽいのはずるい。

「って、違う!これ!」

忘れてた。まだらんくん用のカップケーキがあったんだ!




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