【電子書籍化】いきおくれ令嬢は、クールな騎士様の溺愛に翻弄されています
まずい時には、主人である私にも、ハッキリまずいと言ってくる。
そこがソフィアのいいところでもあるのだけれど……。
そんなことを考えながら、テーブルの上に並んだティーセットを見た。
ティーカップと小さいお皿に四つ並んでいるマドレーヌ。
今日の紅茶は、この時期にピッタリのマロンミルクティーだ。
クリームで覆われているそのティーカップは、見た目も美しい。
作りたての紅茶はとても美味しいのだ。
「ふふっ、成功して良かったわ」
私は褒められて気分がよくなり、マドレーヌをひとつ口に運んだ。
程よいしっとり感に砂糖たっぷりの甘さ。
今日は紅茶も甘いけれど、たくさん頭を使った日にはピッタリだ。
しっかり糖分補給をしなくては──。
頭を使うことをしているけれど一応、ハイド伯爵家の令嬢の私。
だけど私のやっていることは、ダンスでも刺繍でも、花嫁修行でもない。
朝支度をしたら、まず厨房に行きおやつの仕込みをしておく。今日の場合はマドレーヌだ。