同じだけの愛をかえして
だらだら話しながら歩くと、教室まであっという間。

席に座るなり先生がやってきて一年のスケジュールを話し始めたけど、正直流れは去年と一緒だから退屈だ。


聞いている振りをしながらもらったスケジュールの紙に落書きをしていると、突然お尻に衝撃が走った。

椅子を蹴られた感覚に振り返りかけた時、肩の上に紙が乗せられて反射的に受け取る。

そこには「放課後、教室で待ってろ」の一言が神経質そうな角ばった文字で書かれていた。


……これ、緒方君から?


接点のない緒方君から手紙をもらったのが不思議で、先生が黒板を向いている隙にそっと後ろを振り返ってみたけど、緒方君はもうこちらを見ずに目を閉じている。


「では、これから自己紹介しましょうか!」


いつの間に話が終わったのか、気がつけば自己紹介をすることになっていた。

クラス全体の自己紹介なんてせいぜい名前と部活言うくらいだけど、緊張するものはする。

人前に立つのは苦手なんだ、仕方ない。
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