「先生」の壁
「俺のこと、智成って呼んでみなよ」

「え…」

「ほら」

「…と、智、成、さん」

「どうした穂波」

 カッカと顔が火照って先生の顔を直視できない。

「やっぱり、『先生』で大丈夫です。教育相談終わっていいですか」

「穂波が照れてどうすんだよ。吹っかけてきたのはそっちだろ」

「もう忘れてください!」

 先生は余裕の笑みを浮かべているに違いない。


バレたかもしれない。いや、バレてしまっただろう。



先生を好きだということが。
 
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