誘拐婚〜ある日、ウエディングドレスが贈られて〜
「何この指輪……」

怖くなり、フローラは指輪を外そうと指輪を引っ張る。しかし、接着剤でくっつけられているかのように指輪は外れない。

「どうして外れないの!?」

ダイヤモンドのついた指輪など、プロポーズをする時に男性が渡す婚約指輪のようだ。フローラは色々試してみたものの、指輪は結局外れることはなかった。



午後六時半、街にある小さな花屋「スリジエ」の看板は「open」から「closed」に変わる。

片付けをした後、フローラはかばんを手に花屋に鍵をかけ、家に向かって歩き出す。いつもなら今日もたくさんの人が花屋に来てくれたと喜びながら帰っているのだが、今日はいつの間にか指にあった指輪のせいで、喜びよりも不気味さが勝っていた。

「何で取れないの?」

このまま一生取れないのでは、そんな不安がフローラの胸の中で渦巻く。

「とりあえず、家に帰ったらもう一回取れるか試してみないと。最悪、切断してもらうしかないかな」
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