現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします レイと綺麗
「あたしゃ、仕事だかんね、
先に出るから・・鍵は」
綺麗はそう言って、
リビングのテーブルの上に
スペアキーをポンと投げ置いた。
「私の連絡先、
レイさんに高梨が教えてあげて」
窓から差し込む朝日を背に、
こたつの王子はまぶしそうに綺麗を見上げた。
髪が柔らかく波打ち、
宗教絵画の天使のように見える。
「行ってきます」
綺麗は急いでバックに2個おにぎりを詰め込み、
足早に玄関から出て行った。
「仕事がんばれやぁーー」
高梨が大声で言ったのが聞こえた。
王子との共同生活ルールは
こんな感じだった。
朝は綺麗が先に出勤するので、
トースト、コーヒー、
自分ですませてもらう。
自分の部屋は、自分で掃除をしてもらう。
お互いの部屋には入らない。
王子は朝シャワー、
その時に洗濯をして乾燥機にかける。
夜ごはんは、綺麗と一緒に食べる。
王子はフランス留学の時には、
一人暮らしだったらしく、
基本的な生活はこなせるようだ。
洗濯も掃除もやると言ったので、
綺麗は安心した。