現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします レイと綺麗
やばい!!
高梨の迎えだ。
「ハイハイっ」
インターホン越しに、高梨の声が響く。
「契約金、期間より早いが、
こちらの都合だ。
満額15万、お前の口座に
振り込んどいたぜ」
「うん、ありがと・・
助かる、今開けるから」
綺麗は答えながら、首筋をこすった。
「レイさんはすぐ出られる?」
高梨が玄関からリビングを覗き込んだ。
「昨日、ちょっと怪我してさ」
綺麗は、昨日の救急救命の顛末を
簡単に説明した。
「お前がいて、その子良かったなぁ」
高梨は感心したように、
綺麗の顔を見て、ふと視線をずらした。
やばやば・・
キスマーク、ばれたかっ?
綺麗は慌てて、身を翻した。
「レイさん、高梨のお迎え来たよ」
王子はスーツケースを持って、
和室から出て来た。
玄関で立っている高梨を見ると、
大きくため息をついて
「高梨さん、おはようございます。お願いします」
礼儀正しく挨拶をした。
高梨はうなずいた。
「じゃぁ、行きましょう。
空港まで渋滞しなければいけど」
「うん、気を付けてね」
綺麗も大人対応する。
王子は綺麗を見て・・・
泣きそうな笑顔を見せた。
君にとっては
一夜のラブ・アフェアだよ。
別れはキスもハグもなし・・・
ビジネスライクがいい。