現実主義者の恋愛事情・王子を一時預かりします レイと綺麗
高梨はコーヒーを一口飲んだ。
綺麗は目の前のケーキに満面の笑み・・
いや口元が緩み、ニヤニヤしている。
高梨はその様子を半ばあきれたように、口を開いた。
「あのさ・・」
綺麗はケーキを一口パクリと食べ、
満足げにうなった。
しかし
高梨との会話はビジネスライクで
簡潔だ。
「訳あり見学者情報が欲しい。
「女の子たちに誤解を与えたく
ないし」
女子組プレイヤーたちは、
それなりに真剣なのだ。
「結論から言おう・・
そいつは男が好きなんだ」
綺麗のフォークから、ケーキが
こぼれ落ちた。
開いた口がふさがらないとは、
この事をいうのだ。
「はぁ?それで、なんで?
合コン?」
「だから、<見学>って言っただろ。
そいつはフランス人の彼氏が
いるらしい。」
高梨は綺麗の理解力の低さに、
いらだたしげに続けた。
「そいつは外国人なんだけど、
俺の取引先の文化事業団が
招へいしたピアニストでさ」
「へーーー、ピアニスト、
外国の人、彼氏がフランス人?」
そう言ってから、
綺麗は眉にしわを寄せた。
高梨はたばこを吸いたいのか、
いらつきメーターが上昇してきている。
「日本文化を体験したいらしい。
だから居酒屋。
俺の取引先の奴が、合コン参加希望者だから、
おまけでついてくるっていうか・・・
まぁ、日本の飲み会体験かな」