雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
 しばらく集中して勉強をしていると、女将さんが声をかけてきた。

「隣りの部屋にお布団を敷いておきました。明日の朝食は七時でよろしいでしょうか?」
「あ、はい」

 明日は本当の出張。ちゃんと定時の九時から働きたい。
 ちらっと見ると、進藤がうなずいて、「七時で大丈夫です」と答えた。

(ところで、隣りって?)

 襖を開けてみると、並んで敷かれた布団が二組。

「うわー、なんかエロいな」
「なに言ってるのよ!」

 慌てて這っていって、布団を離そうとしたら、押しつぶされた。

「ちょっ……んんっ……!」

 上に乗っかられて抗議しようと振り返ったら、唇を塞がれた。
 続いて熱い舌が入ってきて、私の舌に擦りつけられる。

「ん〜っ!」

 やっぱり見境ないヤツだ!
 キスしながら、進藤は私の胸を揉み始めた。

「んっ、は、ぁ、んんっ……あんっ……や……」

 甘い息が漏れて、お腹がジンとする。

「なー、お前も昨日気持ちよかっただろ?」
「昨日? なん、の……こと?」

 進藤の愛撫に身をくねらせながらも、とぼける。
 昨日のは夢だったって言ったのに!

「ふ〜ん、覚えてないんだ。こうやったのも?」

 身体をひっくり返され、胸を揉みしだかれると、浴衣がはだける。

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