雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「やっぱり下着をつけてなかったんだな。安住もその気だったんじゃないか」
「違うわよ! 普通、浴衣に下着は着ないでしょ!」
「普通、男と同室で下着は外さないだろ!」
「パンツは履いてるもん!」

 「警戒心がないにもほどがある!」と進藤は咎めるように、パクッと私の胸のてっぺんを噛んだ。

「ひゃっ! ぁあ……ん……」

 甘噛みされながら、先端を舌で擦られると得も言われぬ快感が走る。

「夢だって言い張るなら、思い出させてやるよ。なあ、これは覚えてるか?」
 
 進藤は手を私の股の間に入れた。
 中指が割れ目を辿る。

「や、んっ、し、知らない!」
「ふ〜ん、じゃあ、ここが気持ちよかったのは覚えてるか?」

 前後していた指が、割れ目の先端に押し当てられた。
 ビリッとした刺激に身体を震わせてしまう。

「な……んの、こと?」

 口ではそう言いながら、そこをぐりぐりされたり、摘まれたりすると、昨日の官能が呼び覚まされて、腰が跳ねた。
 いつの間にか、くちゅくちゅと水音まで響き始めて、布団をギュッと握りしめる。

「安住の身体はしっかり覚えてそうだけどなー」
「そんな、こと……ない!」
「ふ〜ん?」

 進藤の手がパンツの中に忍びこんできて、蜜が滴るところを撫で回した。それと同時にまた胸を齧られる。

「あ、ふぁっ、あん……!」

 喘ぐ私の中に一気に二本指が入ってきた。
 バラバラに動かされて、身悶える。

「ここに俺のものを受け入れて、蕩けてただろ?」
「知らないっ!」

 叫んだとたん、中の指を曲げられ、親指で外の尖りを押しつぶされて、びくんと背中を反らした。
 一瞬、視界が白く塗りつぶされた。

「やあああッ!」

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