雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「外観は素敵よね」
田舎にはめずらしい瀟洒な洋館で、雪をかぶった木々の間にそびえ立つ様子は、どこかヨーロッパの景色を思わせ、雰囲気はバッチリだ。
いろんな角度から写真を撮っていると──
「安住! やっぱりいた!」
突然、後ろから男性の声が響いて、飛び上がった。
振り返ると、進藤の姿が見えた。
(やっぱり来たのね!)
急いできたようで、息を弾ませ、くせ毛のふわふわの髪は乱れ、柴犬チックな丸い目はちょっと怒ってるみたい。
(抜けがけしたと思ってるのかな? まぁ、その通りだけど)
進藤巧。同期で私が最もライバル視している男。
受注も交渉も得意で、どんなに頑張ってもなかなか抜けない。
悔しいことに見た目も抜群で、そのアイドルばりの容姿に社内の女子から「かわいい〜!」と騒ぎまくられている。
二十七歳の男にかわいいってなによ?と思うけど、くっきり二重の丸っこい目とか、厚めのアヒル口とか、ヤツはあざと可愛い。ムカつく。
田舎にはめずらしい瀟洒な洋館で、雪をかぶった木々の間にそびえ立つ様子は、どこかヨーロッパの景色を思わせ、雰囲気はバッチリだ。
いろんな角度から写真を撮っていると──
「安住! やっぱりいた!」
突然、後ろから男性の声が響いて、飛び上がった。
振り返ると、進藤の姿が見えた。
(やっぱり来たのね!)
急いできたようで、息を弾ませ、くせ毛のふわふわの髪は乱れ、柴犬チックな丸い目はちょっと怒ってるみたい。
(抜けがけしたと思ってるのかな? まぁ、その通りだけど)
進藤巧。同期で私が最もライバル視している男。
受注も交渉も得意で、どんなに頑張ってもなかなか抜けない。
悔しいことに見た目も抜群で、そのアイドルばりの容姿に社内の女子から「かわいい〜!」と騒ぎまくられている。
二十七歳の男にかわいいってなによ?と思うけど、くっきり二重の丸っこい目とか、厚めのアヒル口とか、ヤツはあざと可愛い。ムカつく。