雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
お茶を淹れてくれていた女将さんに、進藤が尋ねた。
「あの笹本さんの別荘の由来ってご存知ですか?」
「由来ですか?」
目を覚ました進藤は早速仕事モードになっていたようで、遅れを取った。
もう調査開始している。
「あの場所にどうして洋館なのかなってことでしょ?」
慌てて会話に参加する。
「そうそう。敢えてあそこに洋館を建てた理由とかご存知でしたら、教えてください」
「あぁ、そういうことですか」
不思議そうに首を傾げていた女将さんは、納得して笑った。
「知ってますよ。ここらでは有名な話なんで」
女将さんの話はこうだった。
もともとあそこは笹本さんの実家が建っていた。それは小さな平屋で、お父さんを早くに亡くした笹本さんは苦労して必死に働き、成功すると、お母さんのために実家をあの洋館に建て替えたらしい。
でも、残念ながら、お母さんは洋館を気に入らず、出ていってしまったそうだ。
「えぇー! せっかくあんな立派なのを建てたのに!?」
「まぁ、もったいないけど、わかる気もしますね。私だったら落ち着かないもの。高齢の方ならよりいっそうだと思いますよ」
驚く私に女将さんは苦笑する。
「なるほど」
「主人の方がもう少し詳しいと思いますよ。笹本さんの後輩だったから」
「そうなんですね。あとで聞いてみます。ありがとうございます」
進藤がにっこりとお礼を言った。
そして、いつの間にか、旅館のおじさんに車を出してくれるようにお願いしていたようで、食後、準備を整えると、早速、私たちは別荘に向かった。
「あの笹本さんの別荘の由来ってご存知ですか?」
「由来ですか?」
目を覚ました進藤は早速仕事モードになっていたようで、遅れを取った。
もう調査開始している。
「あの場所にどうして洋館なのかなってことでしょ?」
慌てて会話に参加する。
「そうそう。敢えてあそこに洋館を建てた理由とかご存知でしたら、教えてください」
「あぁ、そういうことですか」
不思議そうに首を傾げていた女将さんは、納得して笑った。
「知ってますよ。ここらでは有名な話なんで」
女将さんの話はこうだった。
もともとあそこは笹本さんの実家が建っていた。それは小さな平屋で、お父さんを早くに亡くした笹本さんは苦労して必死に働き、成功すると、お母さんのために実家をあの洋館に建て替えたらしい。
でも、残念ながら、お母さんは洋館を気に入らず、出ていってしまったそうだ。
「えぇー! せっかくあんな立派なのを建てたのに!?」
「まぁ、もったいないけど、わかる気もしますね。私だったら落ち着かないもの。高齢の方ならよりいっそうだと思いますよ」
驚く私に女将さんは苦笑する。
「なるほど」
「主人の方がもう少し詳しいと思いますよ。笹本さんの後輩だったから」
「そうなんですね。あとで聞いてみます。ありがとうございます」
進藤がにっこりとお礼を言った。
そして、いつの間にか、旅館のおじさんに車を出してくれるようにお願いしていたようで、食後、準備を整えると、早速、私たちは別荘に向かった。