雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
「進藤! 進藤!」

 私は思ったことを伝えたくて、彼を探した。

「なんだ?」

 キッチンの写真を撮っていた進藤が振り向いた。

「笹本さんはあのプロジェクトがここみたいにチグハグだって言ってるんじゃない?」
「安住もそう思ったか!?」

 ぱあっと顔を輝かせて、進藤が破顔した。

「それに俺たちを試してるんじゃないかと思うんだ。ちゃんと意見を聞くかどうか」
「なるほど! 笹本さんの失敗から学べってことかな?」
「そうじゃないかな」

 私たちは顔を見合わせ、うなずいた。




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