雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
(また、やってしまった……)

 まだざわつく身体を持て余し、ぼーっと考える。
 この間、『ダメな理由を言ってみろよ』と言われて、返せなかったから、ちゃんと答えを考えていたのにな。
 
(進藤が気持ちよくさせるから悪い!)

 そうだ、ぜんぶ進藤が悪い! 
 本当に見境ないんだから! 

(私じゃなくてもいいくせに)

 常に、ゴムの準備はバッチリな進藤。
 いったいどれだけ手慣れてるのよ。
  
 私はふてくされて、布団を頭からかぶった。

 しばらくすると進藤が戻ってきた気配がした。

「夏希もシャワー使うか?」
「うん」

 昨日、お風呂に入りそびれたし、身体を綺麗にしたい。

(そういえば、その状態でペロペロ舐められたのよね……。進藤のバカッ)

 かあっと顔が熱くなったけど、布団をかぶっていてよかった。

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