雪山での一夜から始まるような、始まらないようなお話。
おまけ
「夏希……」
「んー、なに、進藤?」
身体を重ねた後、とろりベッドで蕩けていると、進藤が背中を撫でながら私の名前を呼ぶ。
その手の心地よさに目を細め、視線を上げた。
「なあ、いつまで進藤なんだ?」
「ん? 進藤は進藤でしょ?」
言ってる意味がわからず、首を傾げる。
「お前、俺の名前、覚えてないだろ」
「覚えてるよ。巧でしょ!」
「おっ、知ってたんだ」
「当然でしょ」
「でも、恥ずかしくて下の名前なんて呼べないんだろ? それに夏希は不器用だから、公私で使い分けなんてできないんだろうなぁ」
なに〜! バカにするな!
その勝負、受けて立つ!
「呼べるわよ! 巧! 今日からあんたは巧よ! 会社ではちゃんと進藤って呼ぶからね!」
進ど……巧が笑う。
うっかりときめく。
最近気づいたけど、私はこのわんこな笑顔に弱い。
「夏希」
「なによ、巧」
「なんでもない。ただ好きだと思っただけ」
「〜〜〜〜〜っ」
顔を伏せ、赤くなった顔を隠した私の耳に、巧がキスをした。
「んー、なに、進藤?」
身体を重ねた後、とろりベッドで蕩けていると、進藤が背中を撫でながら私の名前を呼ぶ。
その手の心地よさに目を細め、視線を上げた。
「なあ、いつまで進藤なんだ?」
「ん? 進藤は進藤でしょ?」
言ってる意味がわからず、首を傾げる。
「お前、俺の名前、覚えてないだろ」
「覚えてるよ。巧でしょ!」
「おっ、知ってたんだ」
「当然でしょ」
「でも、恥ずかしくて下の名前なんて呼べないんだろ? それに夏希は不器用だから、公私で使い分けなんてできないんだろうなぁ」
なに〜! バカにするな!
その勝負、受けて立つ!
「呼べるわよ! 巧! 今日からあんたは巧よ! 会社ではちゃんと進藤って呼ぶからね!」
進ど……巧が笑う。
うっかりときめく。
最近気づいたけど、私はこのわんこな笑顔に弱い。
「夏希」
「なによ、巧」
「なんでもない。ただ好きだと思っただけ」
「〜〜〜〜〜っ」
顔を伏せ、赤くなった顔を隠した私の耳に、巧がキスをした。
< 95 / 95 >
この作家の他の作品
表紙を見る
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
表紙を見る
フラワーデザイナー
立石一花
(たていし いちか)
28歳
×
藤河エステート
副社長
藤河颯斗
(ふじかわ はやと)
32歳
嫌がらせ犯を捕まえるために
恋人のふりをすることになったけど
颯斗さんが甘すぎる……。
どこまで”ふり”なの?
表紙を見る
◇西原望晴◇
にしはらみはる
28歳
ベリが丘サウスモールのブティック店員
パーソナル・カラーコーディネーターを夢見る
『はるや』の羊羹が超好きな甘党
甘いものへの情熱がいつもあふれ出る
×
◆由井拓斗◆
ゆいたくと
IT企業社長
老舗和菓子メーカー『はるや』の御曹司
美形だけど、ファッションセンスなし、情緒なし
効率至上主義
「美味し〜い!こし餡の濃厚な甘みと柑橘系の甘酸っぱさが混ざり合って、なんて幸せなハーモニーなの!すごく合うわ!まろやかな舌触りで、甘みもぼってりと舌に残ることもない。さすが『はるや』さん!」
「君を元気づけるには、
やはり甘いものがあればいいようだな」
ただのお得意様だった拓斗と急に同居
そして、利害の一致で入籍することに。
便宜上の妻のはずなのに、やたらと甘くないですか?
この作品を見ている人にオススメ
表紙を見る
「いつか俺の子を産んでくれ。
君にも子供にも、目一杯の愛を注ぐから」
大好きな彼との願いは
叶わないはずがないと信じていた。
しかし、新しい命を授かった直後
彼は事故に遭い、婚約者としての私との記憶を失った。
彼の負担になりたくない。
そう言い聞かせて別れを選んだけれど……
「もう一度会えたら、その時は絶対に手に入れたいと思っていたんだ。
子供ごと愛してみせるよ」
なにも知らない彼と、まさかの再会。
子供の父親も、私が一生愛しているのも
あなたなのだと言いたい。
そしてもう一度、思いっきり抱きしめて。
公開・完結 2022.05.31
表紙を見る
長谷川日葵 (Hasegawa Himari) 24歳
×
清水壮一(Souichi Shimizu) 26歳
生まれたときから一緒の二人。
当たり前のように大切な存在として大きくなるが、お互いが高校生になったころから、二人の関係は複雑に。
決められたから一緒にいるのか?そんな疑問を持ち始めた壮一は、日葵にはなにも告げずにアメリカへと留学をする。何も言わずにいなくなった壮一に、日葵は傷つき苦しんだ。
そして8年後。大人になった2人は同じ会社で再会して。
どうして?
そんな気持ちに悩む日葵に壮一は?
ずっと一緒だったからこそ、迷い、悩み、お互いの気持ちは交錯していく……。
「副社長には内緒」を読んで頂かなくても、まったく問題はありませんが読んで頂いた後の方が、より楽しんで頂けるかもしれません。
莉乃&誠の娘の日葵と、弘樹&香織の息子壮一のお話です。
2021.01.22 完結
表紙を見る
兄弟姉妹もおらず
両親も離婚してからすっかり疎遠
かけおち同然だった両親のおかげで
親類縁者もよく知らない
冷めきった夫婦を見て育ったせいか
元々結婚に夢などは一切なかった
それなら仕事のため会社のために
ちゃちゃっとサインをするくらい
たいしたことでもないわけで……
何せ近頃、バツ1バツ2なんて
珍しくもないんだから
そう思っていたのが三年前
離婚予定を設定したのち
婚姻届けに判を押した
それなのに
クールと見せかけ逃げ腰妻を
あの手この手で振り向かせようとする夫
離婚前三カ月間の攻防戦
結果は如何に