ハピネスを君に
警察「名前はなんていうの?」

花梨「…かりん」

交番に来ると花梨は少し緊張しているのか体が小刻みに震えていた。

警察「苗字はわかる?」

花梨「……ううん、わからない」

警察「そっか、それだと探すことができないな。とりあえず児童養護施設に行くことになるな」

流星「…施設ですか」

警察「この子の見た目からしてハーフだと思いますし、だとすると捨てられた可能性が高いですからね」

花梨「…ハーフ?」

花梨はいまいち言葉の意味がわからなかったみたいだ。

流星「捨て子か…」

警察「とりあえずもう夜遅いし、花梨ちゃんはここで保護することにするよ。明日施設の方に連絡するから」

花梨「いやだ!この人といる」

そう言って花梨は俺の上着の裾を掴んだ。

警察「そのお兄ちゃんにはもう十分お世話になったから今度は僕が…」

流星「いや、いっすよ。一晩くらいなら」

俺は警察の言葉を遮って、花梨の手を握りながら言った。

警察「でも神崎さん…」

流星「俺ん家定食屋なんですけど、飯も部屋も余ってるんで子供一人増えるだけなら問題ないですから」

花梨「ほんとに!」

流星「ほんとだよ」

俺の顔を見て、今まで緊張してガチガチだった花梨の表情が少し緩んだ気がした。
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