極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
この前とは見ている世界が、指輪をはめられる側からはめる側となり興味深いのかもしれない。
「そろそろ行こうか」
衛士が茉奈を抱っこしつつ立ち上がった。彼を見下ろしていたのが、見上げる形になる。
「あ、あのね。衛士のご両親への手前はもちろんあるんだけれど、私もせっかくもらったからこの指輪をつけてみたかったの」
正直な想いを彼に伝える。普段使いにはどうしても難しく、たまにこっそりケースにしまっている指輪を眺めては幸せに浸っていた。
自分からつける勇気がなかなかなくて、今日も実は衛士にはめてもらえて嬉しかった。
そんなことをたどたどしく口にしたら、不意打ちで唇を重ねられる。
「なっ」
「未亜があまりにも可愛いことを言うから」
驚きで口をぱくぱくさせる私に対し、茉奈を抱っこしながら衛士は涼しげな顔で先に歩を進めた。
「さ、行こうか」
茉奈を片手で支え、彼のもう片方の手はさりげなく私の肩に添えられる。
まったく、衛士にはいつも敵わない。ご両親への挨拶の緊張から彼へのときめきで心臓は大きく音を立て存在を主張していた。
衛士の車に乗り込み、ご両親のことをあれこれ質問した。茉奈のことや私が杉井電産の社長の娘でご両親はどんな反応をするのか。
取り調べさながらの硬い雰囲気に衛士は苦笑する。
「心配しなくてもうちの両親は未亜が想像するより、ずっと気さくだ」
「ご、ごめん。私の父があんな感じだから……」
とっさに返した言葉で気づく。母親を早くに亡くし、私の知っている父親という存在は常に厳しく、自分にも周りにも一切の妥協を許さない人だ。
「そろそろ行こうか」
衛士が茉奈を抱っこしつつ立ち上がった。彼を見下ろしていたのが、見上げる形になる。
「あ、あのね。衛士のご両親への手前はもちろんあるんだけれど、私もせっかくもらったからこの指輪をつけてみたかったの」
正直な想いを彼に伝える。普段使いにはどうしても難しく、たまにこっそりケースにしまっている指輪を眺めては幸せに浸っていた。
自分からつける勇気がなかなかなくて、今日も実は衛士にはめてもらえて嬉しかった。
そんなことをたどたどしく口にしたら、不意打ちで唇を重ねられる。
「なっ」
「未亜があまりにも可愛いことを言うから」
驚きで口をぱくぱくさせる私に対し、茉奈を抱っこしながら衛士は涼しげな顔で先に歩を進めた。
「さ、行こうか」
茉奈を片手で支え、彼のもう片方の手はさりげなく私の肩に添えられる。
まったく、衛士にはいつも敵わない。ご両親への挨拶の緊張から彼へのときめきで心臓は大きく音を立て存在を主張していた。
衛士の車に乗り込み、ご両親のことをあれこれ質問した。茉奈のことや私が杉井電産の社長の娘でご両親はどんな反応をするのか。
取り調べさながらの硬い雰囲気に衛士は苦笑する。
「心配しなくてもうちの両親は未亜が想像するより、ずっと気さくだ」
「ご、ごめん。私の父があんな感じだから……」
とっさに返した言葉で気づく。母親を早くに亡くし、私の知っている父親という存在は常に厳しく、自分にも周りにも一切の妥協を許さない人だ。