極秘出産でしたが、宿敵御曹司は愛したがりの溺甘旦那様でした
少なくとも父が敵対視していたのを目の当たりにして、ラグエルが欲しいのは杉井電産の技術だけ欲しいのだと考えていた。
でも衛士や朝霧社長の今の返事からすると、多少なりとも杉井電産の技術だけでなく、その名も残そうと思ってくれている?
国内企業としか取引をしてこなかったから日本ではそこそこ名を知られている杉井電産だが、世界相手にはまるでだ。ラグエルはそれを残念がっている?
『杉井電産の技術は魅力的だし、うちも昔から高く買っていた。その信頼はもはや一種のブランドだよ。逆に極力、杉井電産の名前を残したいと思っている』
衛士の言っていたことは正しかったらしい。
『それで……お父さんに言われて私に接触してきたの?』
『違う』
顔がかっと熱くなる。衛士と別れるとき、彼がラグエルジャパンの社長令息だからって、あまりにもすべてを疑いすぎていた。
「もう、お仕事の話はいいじゃないですか。未亜さんは杉井電産の社長の娘さんである前に、衛士のお嫁さんで茉奈ちゃんのお母さんなんですから」
お茶を運んできた慶子さんに明るく声をかけられ、私たちの意識はそちらに向いた。銀のトレーからまずは、私の前にそっとカップが置かれた。
「未亜さん、紅茶が好きなんでしょ? これ私のおすすめなの。気に入ってくれると嬉しいわ」
「ありがとうございます」
縁が金色で装飾され、薔薇が描かれているカップの中で飴色の液体が揺れている。いい香りが立ち込めていた。
でも衛士や朝霧社長の今の返事からすると、多少なりとも杉井電産の技術だけでなく、その名も残そうと思ってくれている?
国内企業としか取引をしてこなかったから日本ではそこそこ名を知られている杉井電産だが、世界相手にはまるでだ。ラグエルはそれを残念がっている?
『杉井電産の技術は魅力的だし、うちも昔から高く買っていた。その信頼はもはや一種のブランドだよ。逆に極力、杉井電産の名前を残したいと思っている』
衛士の言っていたことは正しかったらしい。
『それで……お父さんに言われて私に接触してきたの?』
『違う』
顔がかっと熱くなる。衛士と別れるとき、彼がラグエルジャパンの社長令息だからって、あまりにもすべてを疑いすぎていた。
「もう、お仕事の話はいいじゃないですか。未亜さんは杉井電産の社長の娘さんである前に、衛士のお嫁さんで茉奈ちゃんのお母さんなんですから」
お茶を運んできた慶子さんに明るく声をかけられ、私たちの意識はそちらに向いた。銀のトレーからまずは、私の前にそっとカップが置かれた。
「未亜さん、紅茶が好きなんでしょ? これ私のおすすめなの。気に入ってくれると嬉しいわ」
「ありがとうございます」
縁が金色で装飾され、薔薇が描かれているカップの中で飴色の液体が揺れている。いい香りが立ち込めていた。