あやかし戦記 怪物の城
(一体、あの悪魔たち以外にどんな敵が潜んでいるの……?)

不安を少し抱きつつ、イヅナは薙刀を握り締めた。



一方、ギルベルトの班は高い城壁を式神を使って登り、草木が伸び放題で荒れた庭を歩いていた。

「こんなに広いんだし、手入れすれば素敵な庭になると思うんだけどなぁ」

「ギルベルトさん、ここは悪魔たちがいるんですよ?気を引き締めてください」

おどけた口調で言うギルベルトに対し、部下のアリス・スペンサーがため息を吐きながら言う。

「わざとだよ?みんなが緊張でガチガチにならないよう、わざと言ってるんだよ?」

「この状況では、どんな冗談でも笑えません!」

アリスに言われ、ギルベルトが振り向けば多くの自分の部下たちが首を縦に振っている。

「ええ〜……」

明るく会話に付き合ってくれる人がいないことに、ギルベルトは地味に傷付いていた。そして、頭にイヅナの顔が浮かぶ。彼女ならばこういう時でも話し相手になってくれるのではないか、と想像が膨らんでしまい、胸が甘く締め付けられていく。
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