あやかし戦記 怪物の城
もしも、この城が観光スポットになっていたのなら、この庭も手入れされてイヅナの好きな花がたくさんあったかもしれない。外壁も城の内部も綺麗にされ、イヅナが「綺麗……」と目を輝かせる様子が目に浮かぶ。

「……ギルベルトさん、今何を考えていましたか?ニヤけていましたけど」

ジロリとアリスに見られ、ギルベルトは緩んでいた頬を軽く叩く。

「いや、久々の戦闘だからかな。あの頃の血が騒いじゃっててね。困ったな〜」

アレス騎士団元四大戦闘員の一人として、それらしいことを言ってみたものの、ジトリとした疑いの目は突き刺さるばかりである。

「あ〜、もう!みんな不安がらなくていいから。僕、確かにブランクはあるかもしれないけど一応団長だからね。ちゃんと最後まで戦い抜くよ」

ニコリとギルベルトはみんなに笑いかけたのだが、ゾワリと嫌な気配を瞬時に感じ取る。そして「伏せろ!」と叫び、全員が頭を下げた瞬間、先ほどまで頭があった場所に銃弾が飛んでいた。
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