あやかし戦記 怪物の城
「あらあら、気付かれてしまいましたわ」

木の上に誰かが立っている。ギルベルトが目を向けると、銃を手にした狐が喋っていた。その銃は一瞬で霧のようなものに包まれ、なくなってしまう。

「うふふ……」

狐は不気味に笑いながら何かの呪文を呟く。刹那、狐を煙のようなものが包み、煙が消えてギルベルトたちの目に映ったのは、先ほどの狐ではなく美しい着物を纏った女性の姿だった。

「あの狐が化けているのですね!」

アリスが警戒しながら、刃のついた扇を構える。狐とギルベルトたちは数秒睨み合い、ギルベルトとアリスが狐に攻撃しようと走り出す。刹那、「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」と背後から悲鳴が聞こえた。

振り返ったギルベルトは驚き、言葉を失う。一瞬の間にギルベルトとアリス以外の団員が、地面から浮き上がった檻に閉じ込められている。

「私がいることも見抜けないなんて、随分と頼りない団長なんだね」

ギルベルトの目の前に、禍々しいオーラを纏った悪魔が姿を見せる。悪魔のトップに君臨する王、サタンだ。
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