あやかし戦記 怪物の城
「ツヤさんから針を貰っておいて正解だったわ。毒は残念ながら仕込まれていないけど……」

ハァハァと荒い呼吸を繰り返しながら、チェルシーが言う。その手には手のひらサイズの針が握られており、チェルシーの近くには嵐を引き起こせる悪魔レヴィアタンが倒れていた。あの水と暗闇の中で、チェルシーは的確にレヴィアタンを刺したのだ。そのことにアレンは尊敬を覚える。

「レヴィアタン、立てるか?」

倒れているレヴィアタンに声をかけたのは、お金の入った袋を背負った悪魔マモンだ。レヴィアタンは「ええ」と言いながら立ち上がり、チェルシーを睨む。

「この女を殺すまでは、倒れるわけにはいかないわ」

「……その台詞、そっくりそのまま返すわ。みんなが味わった恐怖と苦しみ、あなたにあげる」

チェルシーがナタを構え、アレンも慌てて落ちている斧を拾い上げる。恐ろしい悪魔との戦いの始まりだ。



一方、エイモンの班は城の中に侵入した後、チェルシーの班と同じように妖を倒しながら進んでいた。
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