i -アイ-愛-
「…やっぱり」


そっとアザを撫でられ、思わず全身に力が入る。


「触らないで…」


「……このあと、家帰んの?」


茅野琥羽はゆっくり袖口を降ろし、私の目を見つめてくる。


明るい茶色の瞳がとても綺麗だった。


まるで時間が止まったようにその瞳に魅入ってしまったんだ。


「…なに?俺の顔に何かついてる?」


「あっ…いや…」


目が綺麗だから見とれていただなんて口が裂けても言えない。


「で?このあと家帰んのかって聞いてんだけど」


「……帰るよ」


真翔が起きるまでに帰らなかったらどんなヒドイ目に遭わされるか。


「やめとけよ。どうせ殴る蹴る以外の暴行も受けたんだろ」


…なんでわかるんだろう。


私、そんなヒドイ見た目してるのかな…。
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