i -アイ-愛-
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茅野琥羽に案内されたのは高層マンションだった。
暴走族の総長がなんでこんなに高級そうなマンションに…。
静かなエレベーターに乗り、24階まで一気にのぼる。
チラッとその横顔を見上げると、やっぱり美形だった。
さっきは暗くてよく分からなかった綺麗な鼻筋や切れ長の目。
髪はサラサラで身長も高く、手足もスラッとしている。
高級そうなスーツに見を包んでいるけど、胸元は派手に空いていてまるでホスト。
エレベーターが到着すると、彼の自宅はそのすぐ隣だった。
表札は“K.K.”となっている。
「入れば」
「…うん」
ここまで来てしまったんだ。
今さら後には引けない。
恐る恐る玄関に入ると、そこには赤いヒールが置かれていた。