i -アイ-愛-

✿✿

茅野琥羽に案内されたのは高層マンションだった。


暴走族の総長がなんでこんなに高級そうなマンションに…。


静かなエレベーターに乗り、24階まで一気にのぼる。


チラッとその横顔を見上げると、やっぱり美形だった。


さっきは暗くてよく分からなかった綺麗な鼻筋や切れ長の目。


髪はサラサラで身長も高く、手足もスラッとしている。


高級そうなスーツに見を包んでいるけど、胸元は派手に空いていてまるでホスト。


エレベーターが到着すると、彼の自宅はそのすぐ隣だった。


表札は“K.K.”となっている。


「入れば」


「…うん」


ここまで来てしまったんだ。


今さら後には引けない。


恐る恐る玄関に入ると、そこには赤いヒールが置かれていた。
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