i -アイ-愛-
「こいつ、彼氏からDV受けてんの。保護してやってくんね?」


ド直球に話す琥羽に面食らうも、彼女は味方なのだと分かって少し安心した。


「DV?そりゃ大変だね。大丈夫?」 


「大丈夫じゃねぇからお前を呼んだんだろ」


「それもそっか。あたしでよければいつでも頼ってね」


優羽さんはサバサバしてるけど、怖い人じゃないんだ。


無意識に作っていた心の壁が崩れていく。


真翔に暴力を振るわれるようになってから、人と喋るのが怖くなっていつしか防御壁を作るようになっていた。


ただでさえ人付き合いが苦手なのに、余計に人との関わり合いが苦しくなって、上手く会話できずにいた。


「あたし、こう見えても空手と合気道習ってたから、そこらの男なら叩きのめせるしさ。安心して?」


今だって、上手く笑えないし声も出せないけど、優羽さんは嫌な顔せずに話しかけてくれる。


こんな人初めてだ。
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