i -アイ-愛-
「そんなこと言ってないよ。悪いのは私だから」


『分かってんならさっさと帰ってこい。10分以内だ』


プツッ


一方的に言い捨て、電話は切られた。


「アイツ、何だって?」


震えが止まらない。


今すぐ帰らなきゃまた殴られる。蹴られる。叩かれる。   


「ご、ごめん、帰るね!今日はありがとう」 


「ちょっと待っ―」


「ホントに早く帰んなきゃいけないから。ごめんなさい」


どう考えたって10分で帰れる距離じゃないけど、できる限り急がなくちゃ。


もう痛い思いはしたくない。


まだ何か言いたそうな琥羽たちを残して家を飛び出す。


帰らなきゃ。


早く真翔の元へ帰らなきゃ。


「早く…早く…っ」


焦る気持ちからか、足がもつれて上手く走れない。


それが余計に私を焦らせ、不安にさせる。
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