i -アイ-愛-
「はぁ…っ、はぁっはぁっ…っ、はぁっ」


どうしてこんなことになったんだろう。
 

なんで私は真翔のために全力疾走しているんだろう。


痣だらけの身体に滝のような汗をかき、髪をボサボサにしながら走り続ける私は、本当に惨めだ。


「あっ」


ドサッ


アスファルトの小石につまずき、そのまま転倒してしまう。


手のひらや膝が擦り剥けて血が滲んでいる。


「……っ」


なんで。


なんで私…っ。


なんでこんな思いしなきゃいけないの…っ?


転けたことがきっかけとなり、今まで我慢していた涙が堰を切ったように溢れ出てくる。


「苦しい…っ」


でも、走らなきゃ。


行かなきゃ。


もう殴られたくない。


真翔のところに行かなきゃ…っ。


頑張れ私…っ。
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