i -アイ-愛-
今日は長かった。


身体中が痛くて痛くてたまらない。


「ずっとこの家にいろ。俺から逃げるな。約束できるか?」


コクリコクリと何度もうなずく。


もう、口を動かすことも痛くて苦しい。


「次はないから。二度と逃げようなんて思うな」


「…わかってる…」


次はない。


この言葉が持つ意味は重かった。


次真翔の機嫌を損ねたら、こんなもんじゃ済まされない。


もし、さっき電話を無視していたら。


もう帰らないと反抗していたら。


私はこの恐怖から解放されていただろうか。


琥羽…。


また、私を助け出してくれる…?


それとももう…チャンスはないのかな…。


床に溜まった涙が絶望に伏す私を映し出していた―。
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