i -アイ-愛-
つかの間の愛
翌朝。
全身の痛みから一睡もできないまま朝を迎えてしまった。
隣では真翔がスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。
毎日誰かと喧嘩しているのに傷一つない綺麗な顔。
ずっとこのまま穏やかな真翔でいてくれたらいいのに…。
昔みたいに、穏やかで優しい真翔に戻って欲しいよ…。
「朝ごはん作らなきゃ…」
軋む身体を動かしてベッドを降りようとしたその時。
クイッと腕を引っ張られて心臓が跳ね上がる。
振り返って見てみると、まだ眠ったままの真翔が苦しそうな表情を浮かべている。
「真翔…?」
「…にも……な…」
「え…?何?」
「どこにも行くな…」
…真翔……。
夢…見てるのかな…。
なんでそんなに苦しそうにしてるの…?