i -アイ-愛-
幼い頃、親からネグレクトを受けていたと聞いている。


その頃の記憶を夢で見ているんだろうか。


「俺の側にいろよ…」


眉を寄せて強く私の手を握ってくる。


私にも同じ経験がある。


だから、痛いほど気持ちが分かるんだ。


私に見向きもせずにオトコとイチャイチャする母親。


私が空腹を訴えれば、ヒステリックを起こして叩く。


そんな生活を真翔もしていたんだろう。


あの頃のトラウマは簡単に消えたりしない。


ずっと心の奥底に居座り続け、一生私を苦しめる。


真翔も同じだよね。


同じように苦しいんだね…。


「私はどこにも行かないよ」


もう一度ベッドに潜り、真翔に身体をくっつける。


昔はこうして一緒に寝てたなぁ。


真翔はその頃のこと覚えてるのかな…。


それとももう忘れちゃったかな…。


私の人生の数少ない明るい記憶。


「真翔…。あの頃に戻りたいよ…」
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