i -アイ-愛-
次に目が覚めた時には、真翔はもう隣にはいなかった。
「ん…痛……」
身体を起こした途端、ズキズキした痛みが全身を駆け巡る。
どうやら少しだけ寝れたみたいだ。
手鏡で顔を確認すると、アザとクマでみすぼらしい自分が映る。
これじゃ学校もバイトも行けないな。
頬は腫れているし、左目はパンダのようになっている。
「朝ごはん…作らなきゃ」
ヨロヨロと寝室を抜け出し、キッチンへ向かう。
「あれ…真翔…?」
珍しく真翔がキッチンで何かを作っている。
同棲を始めたての頃によく見た光景だ。
「あぁ、起きた?たまには朝ごはん作ってやろーと思って」
……急にどうしたんだろう。
昨夜とはうってかわって機嫌が良いみたい。
寝てるときはあんなに苦しそうだったのに。