i -アイ-愛-
掃除を終え、急いで店の外に出ると、案の定真翔は不機嫌だった。
「ご…ごめんね…。掃除押し付けられちゃって…」
「そう。なんで?」
「え…?」
真翔の真っ黒の目がジロリと私を睨む。
「なんで押しつけられて断らなかったの?」
「えっと…そういうの…苦手で……」
揉めるくらいなら自分がやればいい。
そう思ってしまう。
「断るのが苦手だからって、俺のこと待たせたんだ?」
「……そういうわけじゃ…」
そもそも私は待っててくれなんて頼んでない。
真翔が勝手に待ってるだけなのに…。
「何?その顔。文句があるなら言えよ」
ガシッと頬を掴まれて、息がつまりそうになる。
「文句なんてないよ…。ね、もう早く帰ろう…?」