路地裏Blue Night.
「…じゃあ…キスでもしておこうか」
「………え!?!?」
さすがに顔を上げた。
背中は押さえられちゃってるから離れられないけど、見下ろしてくる目が想像していたより遥かに鋭くて。
……キス……?
キスって、言った……よね……?
「ここも、僕が盗っていい?」
「んむっ」
繊細ながらも骨ばんだ綺麗な指先が、唇の形をなぞるように触れてくる。
その動きがなんとも妖艶に映って、そんな虜になってしまったみたいに目が離せなかった。
”狙った獲物は離さない“
そう伝えてくるような視線に、ぞくりと背筋が立つ感覚。
「僕は射止めたなら一生だから」
「…いっ、しょう…?」
「僕は自分のものを奪わせやしない。どんな相手だろうと、誰にも渡さないよ」
銃弾のような矢が、戸惑う野良猫を撃ち抜こうとしてくる。
一度ターゲットとなったなら逃げ場なんかない。
どんなに逃げ惑っても、けれど捕まったならそれはそれで最後まで守り抜いてくれる。
そう思わせてくる彼はすごく不思議な人だ。
「ごめん、からかいすぎたね。…明日も学校、はやく寝ちゃいな」
元の笑顔に戻った。
そりゃもう適度な力加減で、引き寄せられながらの頭ぽんぽんしてくれるけど…。
「……」
寝れるわけ……ないよね!?!?
こんなの寝れる方がおかしいってんだよぉぉぅぅおうおう…!!!