路地裏Blue Night.
『兄ちゃん!犯人あそこに行ったよ……!!』
その逃げて行った男は、狭い路地裏へ。
大人だと少し窮屈に感じるほどに狭い場所だったけれど、小柄のひったくり犯はなんとか通っていて。
『オレたちで捕まえよう兄ちゃん!ユーリっ!!』
『やめといた方がいいよ。変に首つっこむと後々あぶないから』
侑李は心配性だった。
そう言うと『俺は慎重派なんだ』って返っ
てくるから言わないけど、いつも僕より睦月を心配して、優しく接して。
下手したら僕以上に睦月のお兄ちゃんをしていると言っても過言ではなかった。
『なぁ兄ちゃん!行こーよっ!もし犯人捕まえたら、オレたちヒーローだよ!』
『…侑李はここで待っててくれる?こいつ、思い立ったらすぐ行動だから止められないよ』
『……あーもう、わかった俺も行くよ』
よし来たっ!!と、弟は笑った。
小さな頃から3兄弟のように育った僕たちは、こうしていつも一緒だった。
それぞれ性格は違うけれど、3人揃えば怖いものなんかない。
頼れる兄ふたりが居るからなんでも出来てしまう───睦月はきっと、そんなふうに僕と侑李を見ていた。