路地裏Blue Night.
『ありがとうございました…!本当にありがとう…っ!!』
『へへっ、お安いご用ですっ!』
『すごいね女の子なのに!びっくりしちゃった!』
『……』
ふっと、思わず見守っていた僕と侑李は吹き出してしまった。
それを見て睦月は頬を膨らませて拗ねて、それがまた女の子の顔に見えたりして。
『オレは男だっ!!』
『あら、そうなの?ごめんね、かわいい顔してたからつい!』
『ちゃんと立派なもん付いてるしっ!ほらこれ見て───いってぇっ…!なにすんだよユーリ!!』
容赦ない侑李の一撃。
本当は兄である僕がそれをしなければ駄目なんだろうけど、こうなるって分かっていたから黙って見つめていた。
『アホか!!おまえが子供じゃなかったら捕まってるからそれ!!』
『オレ子供じゃないしっ!!』
『だったら尚更やばいんだよ馬鹿!!』
それに、こんな取っ組み合いを見るのが好きだったから。
くすくす笑う僕を見て、その2人だって嬉しそうで。
僕にもし何かあっても、睦月には侑李がいるから安心だと。
いつもそんなふうに思っていた。