路地裏Blue Night.
『あ、そうだわ!良かったらこれ、お礼と言ったら安いけど……映画のチケット、ちょうど持ってたからあげる』
『うおっ!これオレが観たかったやつじゃん!!兄ちゃん!ユーリ!このあと観に行こーぜ!』
僕も侑李も睦月も、足の速さには自信があって。
昔からよく競争してたし、睦月は僕たちに追い付こうといつも追いかけて来ていたから。
まるでその延長線。
簡単にひったくり犯を捕まえると、被害に遭ったお姉さんは報酬のようなものを渡してくれた。
『いえ、これは貰えません。俺たちが勝手にしただけですから』
『はっ!?おいユーリ!!なに言ってんだよ!!』
そのチケットをお姉さんに戻したのは侑李。
首を横に振って大人の対応をすると、街中でだらだらと会話していた時間さえもサラッと片付けてしまった。
『もーー!なんでだよ…!せっかく貰ったのに…!!』
『睦月、ヒーローは報酬なんか貰わないよ。それをしたら仕事になっちゃうだろ。
俺たちは街のお助けマン、そっちの方が格好いいと思わない?』
『……お助け、マン…』