路地裏Blue Night.
「あった……っ!!」
ビルの屋上へと繋がるハシゴ。
すぐに登って、今度は路地裏ではなく屋上戦だ。
「すばしっこいガキや……っ!!」
追っ手は幸いにも2人だけ。
このまま連絡を入れられて仲間を連れて来られたらやばいけど、今のうちに逃げ切るが勝ち。
カンカンカンッと登って、初夏の風に逆らうように高いビルを走っては隣ビルに飛び移って。
隠れて潜んで、なんとしてでも追っ手を撒いて、最後は何事も無かったように町人に戻るのだ。
それがS.Roberとして学んできたこと。
「ったく、どこ行きやがった…!!つぎ見かけたら銃で撃ち殺したるわ…!!」
ひええええっ…!!
めちゃくちゃ怖いこと言ってる…!!
屋上の物陰に身を潜める今、少しでも動いたら音でバレてしまう。
2つの影が私の近くをスーッと横切って、ふぅ…と一息。
「っ…!!」
と、目の前に影が出来た。
「───こっち」
「わぁ…っ!」
ぐいっと引かれた手、それはここに居るはずがない人の声だった。
どうしてさっちゃんがいるの…?
さっき逃げてもらったはずなのに。
というより、こうして来てるってことは私が屋上に向かうことを予測してたってこと…?
なんか色々やっばぁぁぁっ!!