路地裏Blue Night.




そんな会話をしたって、耳障りな音楽がすぐに消してくれる。

アルコールの回っている若者は聞く耳すら立てないし、男女がそろえば抱き合っては堂々とキスまでしちゃって…。



「さ、さっちゃん……ここ、なんかすごい、」


「だから僕から離れないように」


「…うん」



それにさっちゃんとめちゃくちゃ密着してるし、腰に手は回されてるし…。

うわぁぁぁぁ色々アウトぉぉっ!!



「ミオ、」


「わっ…、」



とか思ってたら、くいっと腰が引き寄せられて。

堂々と身体を寄せ合っちゃってる若者は……ここにいます、はーい。



「さ、ささささっちゃん…!?」


「静かに。…そこにいる」



こんなふうに「近っ!!」な感じは初めてではないけど、場所が場所だ。

それに前とどこかちがう緊張感もあって、触られる場所ひとつひとつが熱くなってゆくような。


けれどさっちゃんは、私の背後の様子をずっと伺っているようだった。

そこにまだ藪島組の連中がうろちょろしてるらしい。



「ミオ、もっと」


「っ~!」



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