路地裏Blue Night.
『ユーリはピアス開けてるしっ!これ絶対ユーリに似合うと思ってたんだオレ!!』
『…さんきゅーね、睦月』
『うんっ!ねぇ付けてよ今っ!』
それまではめていたものは、もう付けることはないだろうと。
そんなに思い入れもないから捨てようと思っていれば。
『オレにちょーだいっ!』
と、開けていない弟分が瞳をキラキラさせて言ってきた。
イヤリングじゃないから意味ないだろと言っても、そいつは嬉しそうに笑って俺が付けていたピアスを手にした。
『高校行ったら絶対開けるんだ!そしたら付ける!!』
『はは、たぶん怖じ気づいて開けれないくせに』
『う、うるせーっ!兄ちゃんだってそうだろっ!!』
『僕はからだに自ら穴を開けたくないだけ』
なんて、似てないようで似ている兄弟を見るのが好きだった。
毎日のようにα9として活動する日々も嫌いじゃなかった。
できるならずっと一緒にこうしていたい───と。
『うわー!すげー格好いいよユーリっ!』
『…これ引っかけたら怖いな』
『えっ、そしたらどうなる…?』
『耳が取れる』