路地裏Blue Night.
俺と皐月の真ん中に守られる末っ子。
犬のように社交的で、賑やかで放っておけなくて、それなのに女の子みたいにかわいい顔してるからよくナメられて。
心配性な俺をいつも困らせてくる弟分───鹿野 睦月にとって、きっと俺は皐月より兄ちゃんで好かれていたと思う。
『水島 蘭(みずしま らん)だ。α9のことは少し前から知っていた』
『…水島……水島って、俺の父さんと関わりあるゼネコン会社の人も同じ名前だったな…』
『うん、そうだよ。蘭くんはその大手ゼネコン会社、水島ホールディングの息子さんなんだってさ』
『……まじかよ』
“なんだってさ”じゃない。
水島ホールディングはベンチャー表彰に10年連続受賞してるくらいの有名企業だ。
こんな有能な息子さんをどこから連れて来たんだよ、皐月は。
って言っても、こいつだって日本を支える大臣の息子だったか。
『水島ホールディングのクライアント先は今、この不景気で上手く回っていないところが多い。その突破口が見つけられるんじゃないかと思ったんだ』
『……俺たちは単なる街のお助けマンなんですがね』
『あぁ、よろしく。皐月に侑李。それから睦月だったか』