路地裏Blue Night.




それから観羅伎町の治安はどんどん悪くなっていった。


性犯罪は日常茶飯事だし、ヤクザ同士の抗争、チンピラの喧嘩。

その末にある殺人事件だって。



『やだよ…!!オレも一緒に仕事したい!』


『だめ。お前にはこれから昼間の任務だけをやってもらうから』


『ユーリも兄ちゃんも、蘭だって…いつもオレのことガキだからって仲間外れにする…。オレだってα9なのに…』



そんなかわいらしい拗ね方に、俺たちの柔らかい声は揃った。


いつも俺たちを追いかけてくる弟。

しょっちゅう転んで、しょっちゅう人にぶつかって、並んでいる自転車は倒すけど。


それでも誰よりも優しくて正義感がつよい睦月は、言ってしまえばα9の象徴だった。



『睦月、トップが折れたら僕たちは終わりなんだよ。だから危険な目には絶対に遭わせられない』


『…オレって、トップなの…?』


『知らなかったの?みんなα9の睦月には敵わないって噂たってるよ』


『え、マジ!?!?』



お、皐月が久しぶりに兄貴の顔をした。

こいつもいざというときはやってくれるから、俺も頼りにしてる相棒だった。



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