路地裏Blue Night.
『俺が藪島組の動きをGPSで突き止めて伝える。足止めは他の連中にも頼めるが、そこには司令塔として皐月か侑李のどちらかが必要だと思う』
『…そうなると保護に向かうのは1人しか居なくなる。そこにも必ず藪島組は見張ってるはずだよ』
どう考えても人数が劇的に足りない、無謀すぎる。
『いや、それが拉致られてる場所は藪島のオフィスビルから遠い倉庫。わりとそこだけセキュリティも奴等の目も浅いんだ。
だから上手く潜入できれば、あとは娘を連れて逃げればいい』
こんなにも水島 蘭と会話を行き交わせたのは初めてかもしれない。
ここには確かに、あの無邪気な弟分は似合わないどころか居てはいけない。
だからやっぱり外して正解だったと思う。
『…その娘の救助は僕が行くよ。だから侑李は足止めに向かうメンバーみんなの指揮を───』
『駄目だ、俺が行く』
幼なじみナメんなよ。
どーせ、皐月がそんなこと言うとは分かってたから。
俺は被せるように言った。
『これは一歩まちがえたら人の命が無くなる可能性があるんだ。
…もしかしたら、その倉庫で誰かが殺されるかもしれない。だったら尚更俺が行くべきだ』
『うん、だからでしょ。だから僕なんだよ侑李』