路地裏Blue Night.
『…じゃあ皐月、おまえから言ってよ、
…睦月の兄貴だろ、』
おまえが一番に睦月の性格わかってんでしょ。
こいつは思い立ったらすぐ行動、その危なっかしさだって知ってるはずだ。
俺はこいつの兄貴じゃないから言えないけど、おまえは兄貴だから。
皐月さえ言って止めてくれれば、俺は睦月を守れるんだよ。
『なぁ、さつ───』
『僕と睦月で行ってくるよ。…こいつなら大丈夫、やってくれるさ』
なに…言ってんだよ。
相手は大人の、しかも平気で殺人を犯して隠せてしまうヤクザだよ。
『皐月…!!これはお遊びじゃねーんだよ…!!逃げたって追ってくる、銃だって使う、それがヤクザだ』
気づけば感情任せにも皐月の胸ぐらを勢いよく掴んでしまっていた。
『…そうだよ、これはお遊びじゃない。でも僕は今までだって1度もお遊びでやってないよ』
なんで、そんな目で見てくるんだよ。
俺はお前たちが大事だから言ってんでしょ。俺がまちがってんの…?
『バッグを盗られた女性を助けるのと、ヤクザに捕らわれた子を救うのと、…なにが違うのかな』
『根本的に…ちがうだろ、…ぜんぶが』
『ちがくないよ。だったら侑李は、いま目の前にある命……見捨てろって言うの?』