路地裏Blue Night.
鑑識の1人が何かを発見して差し出してくる。
『…これ、見覚えはありますか?睦月くんが大切にしていたものだとか』
『───…』
『ピアスかな、ずっと握っていたみたいで』
そう、ピアスだった。
俺がそれまで付けていた輪っか状のシルバーリング。
高校生になったら付けると無邪気にわらっていた笑顔が頭を埋めて、俺は言葉なく叫ぶように泣いた。
『α9は……解散する』
それから皐月とも話さなくなって、街のお助けマンは消えていった。
解散だなんて、そんなの睦月が聞いたら怒るどころの騒ぎじゃない。
けれど皐月はα9という名前をつぶやくだけで泣きそうになっていた。
『侑李、お前はこれから───』
『俺はそんなの認めないよ。おまえが勝手に抜ければいい』
『…続けるの?ここを、』
『藪島組から一緒に仕事しないかって誘いが来ててさ。ちょうどいいかなって思ってたとこだから』
『は───…?』
なに言ってるんだと、そう言いたげな反応だった。
そりゃそうだ。
睦月を殺した組に寝返ったようなものなんだから。