路地裏Blue Night.




『あいつらは睦月がα9だったって知らねーみたいだし。それにコレ、結構だしてくれるっぽいんだわ』



さすがヤクザだよな───。

俺は付け足すようにわらって、“お金”という言葉をジェスチャーで伝えた。


あんなに報酬を貰わないと決めていた俺が金に目がくらんだ。

そう思ってくれて結構。



『お助けマンなんて、くだらねーのはもう終わり』


『…そんなの…睦月が悲しむだけだよ、』


『睦月?そんなのもう死んだんだよ』


『なに言ってんの侑李…、僕らの大切な弟でしょ』



なにも出来なかった情けない兄貴へ、俺は鼻でわらってやる。



『わるいけど俺には弟なんかいねーし、ただ幼い頃から知り合いってだけ。
あんなうるさいガキのお守りに付き合ってやってた俺に感謝してくんない?』



もう、御免だ。
この街で誰かを失うのは御免なんだよ。

どこを見たって楽しかった俺たちが走ってる映像が見える。


恨まれたっていい、嫌われたっていい。

幻滅だってしてくれていい。


だとしても利用できるものすべて利用して、それでいつか俺は睦月を殺した男を探し出して───…殺す。



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