路地裏Blue Night.
「サツも情けないモンやで。ワシはこんな堂々と歩いてるのに声もかけてけぇへん」
「はは、安西さんカオ怖いっすもん」
小指は短いし、目元に切り傷、そんな男には警察だって近づきたくないはずだ。
白いスーツに中は派手なシャツ。
そんなだとオンナも寄って来ないでしょ。
「ただ、ガキを殺すとなると気が引けるわ」
「安西さんもそういう感情あったんですね」
「ちゃうで、うるさくてしゃーないねん。ギャアギャア騒いで、兄ちゃんユーリっつってな」
「……ユーリ…?───っ…!!」
俺の何かに気づいたのだろう。
そう、それは殺気だ。
けれど俺から出している以上の殺気で、ガシッと肩に腕を回してくる男はニヤァとわらった。
「お前、なに企んでんねん。ワシはぜんぶお見通しや。あんまヤクザ舐めとったらあかんで?」
「───…おまえ、か、」
「そうや。覚えときぃ、ワシが殺すとするんなら…まずはお前からや。我が身はしっかり守らんとな」
こいつは最初から知っていた。
俺がずっと、その存在を探っていたこと。
そして睦月がα9だったこと。
「ワシに弟だけやなく兄ちゃんの方も殺させるんか?なァ、───ユーリ」
そして俺がこいつを殺そうとしていることを。
*