路地裏Blue Night.
『…オレ、ユーリに最低なこと言っちゃったよ、兄ちゃん』
『…睦月…?お前、なにして…』
『オレが女の子みたいな顔してるの、ここで役に立つみたいだ』
へへっ、なんて笑いながら睦月は服を脱ぎはじめた。
そして少し戸惑いながらも意識のない女の子に手をかけて、同じように剥ぎ取って、そして着ていたものを交換する。
それは───…身代わりだ。
少女は少し大きめのトレーナーとハーフパンツ姿だったこともあって、睦月が着てもサイズに違和感はなかった。
『オレじゃその子をおんぶしながら走れない。…ユーリに合流したら、オレを見失ったって言って』
『馬鹿…いわないでよ、はやく逃げるよ睦月、』
『そうじゃないとユーリ、きっとめちゃくちゃ怒って兄ちゃんが殴られちまうだろうし。ユーリってばオレのこと大好きだから』
自分の両手首を落ちていた縄で縛った睦月。
この薄暗い中でみると、完全に女の子だった。
『それで警察に頼んで、ここに迎えに来て兄ちゃん。それから…ユーリにごめんって謝っておいて』
『…そんなの、お前から言わないと意味ないよ、』
『…うん』
だけど、声や体つきで見破られるはずだ。
だったらそれまでに僕が早く走って警察を連れてくればいい。
…けど、そんなの駄目だ。
『そんな顔すんなって兄ちゃん!オレなら平気!だって───…』